映画「バベル」の光感受性発作の被害が拡大している。光感受性発作は一度経験すると次からより引き起こされ易くなるという傾向がある。「バベル」を観て、めまいを起こしたひとが、次に自動車の運転中に、対向車のヘッドライトの光で、気を失うという可能性もあるのだ。そういった意味からも映画「バベル」は、より深刻な社会的リスクを引き起こす可能性を持っている。

映画「バベル」は、上映を一度中止し、問題のシーンを削除した上で、再度上映しなおすべきだ。海外での発作の例が報告されていないので、深刻ではないとするのは、危険だ。光点滅による発作は、昨日書いたように、単なる視覚野刺激の強度以外に、脳波レベルのバイオフィードバック強度と、映画全体における臨場感強度といった、ホメオスタシスフィードバック強度そのものが深くかかわっており、日本人が日本語で会話しているシナリオであり、日本人の役者の顔がアップになっているということからも、特に日本でのリスクを考慮するべきだ。実際に日本でその被害が広がっているという事実を深刻に受け止めるべきだ。

ポケモンのときは、β領域とα領域の光点滅の繰り返しというパターンでの発作誘発であったが、映画「バベル」では、θ領域の低層フィードバック刺激となっており、めまいや吐き気などに誘導され、強い発作としては誘発されにくい反面、生体がこの低層脳波刺激のフィードバックを学習することはより容易である可能が高く、再発性の問題はポケモンのときよりもリスクが高いと考えるべきだ。

また、日本の映画館は、プロジェクターの輝度も高く、より鮮明であり、光点滅刺激の強度も海外よりも一般に高いと考えるべきだ。同様に、海外のシネコンはスクリーンが小さいものが多いが、日本の映画館はスクリーンが大きいところが多く、視角が広ければ広いほどリスクが高いのだ。 今回の映画「バベル」の問題のシーンは明らかに、光点滅による光感受性発作を誘発する刺激になっている。あらゆる社会的リスクも考慮して、すぐに上映中止にすべきだ。その上で、問題のシーンを削除するなり、再編集するなりして、再上映すればいい。映画人の当然のモラルを期待したい。